2019年10月06日 疾患を理由とした就業差別の廃絶に向けた声明 |
2019年9月21日に開催されました第24回全国医療ソーシャルワーカー協会会長会において、下記声明が採択されました。当協会としても賛同する立場から、ホームページにて広く共有すべくホームページに掲載いたします。 会員におかれましては、声明の趣旨を汲んだ支援に取り組んでいただくことはもちろん、労働者たるクライエントとともに、両立支援の実現に向けた環境作りにもご尽力願いたいと思います。
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疾患を理由とした就業差別の廃絶に向けた声明 2019年9月21日 全国医療ソーシャルワーカー協会会長会
HIV 感染症・エイズ、悪性新生物は、死に至る病から、適切な治療を早期に開始することにより、今では医療を受けながら社会生活が営める慢性疾患です。 厚生労働省の『職場におけるエイズ問題に関するガイドライン』(平成7年2月20日 基発第75号、職発第97号)によれば、「2 職場におけるエイズ対策の基本的考え方」の「雇用管理等」の項において「HIVに感染していることそれ自体によって、労働安全衛生法第68条の病者の就業禁止に該当することはないこと」、また「HIVに感染していることそれ自体は解雇の理由とならないこと」と定められており、医療機関も含めた職場における HIV 感染者への差別は禁止されています。 また、厚生労働省「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」(平成31年3月)では、事業場が、がん・脳卒中などの疾病を抱える方々に対しての適切な就業上の措置や治療に対する配慮を示し、事業場における取組などをまとめており、国も治療と仕事との両立を図るための施策を推進しています。 さまざまな取り組みにより、HIV感染症、悪性新生物に対する治療の進歩と社会的な理解が進む状況の中、残念なことに、現在においても採用時、就業中における差別は後を絶ちません。私たち医療ソーシャルワーカーは、すべての人間を、出自、人種、性別、年齢、身体的精神的状況、宗教的文化的背景、社会的地位、経済状況等の違いに関わらず、かけがえのない存在として尊重するとともに、個人、家族、集団、地域社会に存在する多様性を認識し、それらを尊重する社会の実現を目指しています。 全国および都道府県の医療ソーシャルワーカー協会は、各地の医療ソーシャルワーカーと連帯・協働し、上記ガイドラインに記された内容が実現されるように、以下の事項に取り組んでいきます。 一、私たちは、労働者の権利が尊重される社会を目指すとともに、病気や障害によるいかなる差別にも反対します。 一、私たちは、病気や障害を抱えた労働者の権利が侵害された場合には、労働者とともに周囲へ働きかけ、その人の権利が尊重されるように尽力します。 一、私たちは、労働者が治療と仕事とを両立できるように、ソーシャルワークの立場から労働者をサポートし、事業場や地域社会においても労働者を支える仕組みづくりを支援します。 一、私たちは、自己の資質向上に努め、医療・福祉・教育など関係職種、また行政機関と適切に連携していき、上記の実現に向けて活動していきます。
(以 上)
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